楽しむ 〜「神童」〜
公開日 : 2007年04月24日 18時47分
ふとした音に、心を奪われることがあります。風の音であったり、鳥の音色であったり、と。それは、時を越えて人々の記憶を呼び覚ましたり、新たな希望を予感させたりします。音楽の原点とは、この自然の音色なのではないか、本作を観終えた後、その思いが脳裏を過ぎりました。
まず、本作のオープニングが素晴らしい! 池に浮かんだボートの上で午睡をむさぼっている一人の青年、ワオ。そのBGMは、総天然の音色。その平穏な時を少女の叫び声が打ち破ります。その声の持ち主は、天才少女ピアニスト、うた。
音楽を愛しながらも、自己表現の方法に行き詰まっているワオ。その才能ゆえに、周りの人々と適応できない、うた。二人の奇妙な友情関係が始まります。一台のピアノを媒体にして。やがて、そのピアノを通して、一つの奇跡のハーモニーが紡ぎだされていきます。それは・・・
本作の最後に流れるスタッフ表を見ていたら、映画学校で私と同期であった女の子の名前が、スプリクター(記録係)としてのっていました。憧憬の眼差しで、彼女の名前を見つめるとともに、私もささやかながら文章執筆を続けていこう、そう心に誓いました。