伝えたい! 〜「しゃべれどもしゃべれども」〜

公開日 : 2007年06月12日 10時03分

 思いを伝えることの難しさ、それをしみじみと実感したのは、初めて人を好きになったときのことでした。その人の前に出ると、舞い上がってしまい、しゃべりすぎてしまったり、ある時は自己嫌悪で無口になってしまったり・・と。今、思い出すだけで恥ずかしい気持ちになってしまいます。本作を観ていたら、その頃のときめきの鼓動がよみがえってきました。

  

 「師匠の噺が好きだから」 その思いで、落語家の道を歩みはじめた三つ葉。でも、駆け出しの彼にとって、師匠の噺はまだまだ高嶺の花。足元にも及びません。と言っても、修業仲間の柏家ちまきのように、今風の新作落語で売り出すことは、古典落語を愛する三つ葉にはできないこと。今日も、閑散とした寄席で、古典を続ける三つ葉。「どうしたら師匠のようになれるのか?」   そんなある日、三つ葉は、ひょんなことから話し方教室の先生に。「話すことが商売でしょ!」 そう言われても、自分自身が噺に迷っているのに。しかも、生徒は個性的な面々。関西弁が理由でクラスで孤立している根っからの関西児・優と、美人なのに無愛想な五月、それに強面な外見とは裏腹にシャイな野球解説者・湯河原。 果たして、話し方教室の行方は?  そして、三つ葉の話芸は?   

 本作の見所は、何と言っても、一門会で三つ葉演じる「火焔太鼓」(昭和の名人、五代目古今亭志ん生の十八番)。国分太一演じる、三つ葉の熱演もさることながら、この三つ葉を見つめる五月の視線にも注目です。

 

  「好きなことから逃げたら一生後悔する!」 何かと、息苦しい世の中ですが、本作を観終えた後、一歩一歩、道を歩んでいくことの大切さを、時には戸惑ったり、悩んだりしながらも進んでいくことの大切さを痛感しました。そう、人生というのは一つのメッセージであり、それを伝えていくのが生きることなのではないでしょか。