夏休み〜「サイドカーに犬」〜

公開日 : 2007年07月03日 10時27分

 早いもので、今年も半分が過ぎました。梅雨が明ければ夏。子どもの頃、この7月の声を聞くと(学校では短縮授業が始まります)、わくわくした気持ちを抑えることができませんでした。そう、もうすぐ夏休みがはじまるのです。40日間という長い休み。今年の夏休みには何かが起きるかも。その予感に、胸を時めかしていたのです。
 
 「今朝、どの靴を履いて良いのかわからなくなった」 不動産会社で営業をしている薫、30歳。ずっと続いている変わらない日々、そしてつまらない時間。昨日も、些細なことでクレームが。ふと、会社を休みたくなった薫は、行きつけの釣堀に向かいます。そこで、一人の女の子と出会う薫。「何年生?」「四年生・・・」。薫の脳裏に、平凡とは程遠い、強烈なひと夏の思い出が浮かんできました・・・
 「20年前の刺激的な夏は、母の家出で幕を開けた・・・」 小学校四年生の薫は、両親と弟との四人暮らし。平凡な日々が、父の脱サラがきっかけで崩れていきます。そんな夫に愛想をつかせて家を出る母。代わりに家に来たのは、怪しげな店から貰ってきたパックマン(ゲーム機)と、ヨーコさんという豪放磊落な若い女の人。夜になると、怖そうな父の友人たちがやってきて麻雀大会が。「お母さんがいたら、きっと怒るわ」不安げな薫の横で、弟はパックマンとヨーコさんが買ってくれた麦チョコの山盛りに大喜び。 そんな薫も、ヨーコさんの不思議な魅力に次第に引き込まれていきます。そして、この夏休み、薫は三つの初体験を。一つは母から禁じられていたコーラを飲んだこと。二つ目は、自転車に乗ること。そして三つ目は・・・
                                          
 大人になると、なかなかとれないのが長期の休み。あわただしく、それでいて単調な日々の中から、ささやかな心の休暇場所(薫にとっては釣堀でした)を見つけること、それが生きていく上で大切なのかもしれませんね。私にとってささやかな休暇の過ごし方、それは電車の1日乗車券を買って、ぶらりと出かけることです・・・