行き先は・・・ 〜「パンズ・ラビリンス」〜
公開日 : 2007年10月13日 22時18分
心理学用語に“昇華”という言葉があります。それは、人間の心の中に潜んでいる欲求が、社会的に認められない時、その欲求のエネルギーを別の形(例えば、スポーツや文化活動)に向けさせるという意味とのこと。本作の主人公、少女オフェリアにとって、おとぎ話の世界は、“昇華”だったのでしょうか・・・
1944年、フランコ将軍圧政下のスペイン。自然豊かな山道を高級車が走ります。乗っているのはお腹の大きなお母さんと、おとぎ話の本を手にしたオフェリア。オフェリアにとって、緑豊かな山の中は、おとぎ話への入り口のよう。そして、彼女の目の前に妖精のような生き物も。しかし、その自然を覆う銃声と軍靴の響き。オフェリアの新しいお父さんはフランコ軍の大尉でした。豪華な生活とは裏腹に、大尉が心配しているのはお母さんのお腹の子どもだけ。そして、今日も山の中では大尉率いる軍隊の殺戮が。オフェリアにとって、心の支えは、おとぎ話の世界。そんなある日、彼女の前に再び妖精が現れます。自由を求めて立ち上がったゲリラ軍と、大尉軍との戦いが激しくなる中、オフェリアは魔法の王国へと一歩、足を踏み出すのでした。
“昇華”と混同されやすいものに“現実逃避”という言葉があります。本作で、オフェリアは、“現実逃避”でおとぎ話の世界へと走ったのでしょうか? 確かに、きっかけはそうかもしれません。しかし、彼女のとった最後の選択は逃避ではなく、困難に立ち向かい、新しき生命への愛を貫いたものでした。その結果として・・・
物語のラスト、オフェリアの姿から、人を愛することの大切さ、そして、命の尊さが地球の重みのように伝わってきました。